日本消化器外科学会雑誌
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選択的ウロキナーゼ動注療法が有効であった急性上腸間膜動脈閉塞症の1例
吉田 寛恩田 昌彦田尻 孝金 徳栄岡崎 滋樹梅原 松臣真々田 裕宏谷合 信彦西久保 秀紀寺本 忠田島 廣之隈崎 達夫恵畑 欣一
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1991 年 24 巻 9 号 p. 2466-2470

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抄録

急性上腸間膜動脈閉塞症 (根部完全閉塞) に対し, 発症後早期にウロキナーゼを動注し, 回盲部切除のみで救命しえた症例を経験したので報告する.症例は56歳男性で, 10年来の心房細動, 十二指腸潰瘍, 一過性の右片麻痺があった.突然の腹痛を主訴に, 発症3時間後に来院.腹部所見, 腹部単純X線, 既往歴より上腸間膜動脈閉塞症を疑い, 発症4時間後に緊急血管造影を施行し, 上腸間膜動脈本幹の完全閉塞を認めた.選択的ウロキナーゼ短時間大量動注療法 (60万単位/時間, 1時間) にて造影像の著しい改善と症状の消失を認めたため, さらに持続動注療法 (2万単位/時間, 9時間) を施行した.翌日, 下血, 右下腹部痛が出現し, 再度血管造影を施行.回結腸動脈末梢に無血管野を認めたため, 発症18時間後開腹し, 盲腸部の壊死を認め回盲部切除施行し短腸症候群を回避しえた.術後, 下血は消失し, 血管造影, 小腸造影でも異常所見を認めず, 経過良好にて退院となった.

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