日本消化器外科学会雑誌
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肝細胞癌に対する肝動脈内選択的recombinant-Interleukin 2長期持続注入の中断後に急速な肺転移巣の進行を認めた2例
板倉 淳飯塚 秀彦山本 正之松田 政徳松本 由朗
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1992 年 25 巻 1 号 p. 136-140

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抄録

肝細胞癌に対して肝動脈内にカニュレーション後, 皮下埋め込み式注入ポンプを使用してInterleukin 2 (IL2) 持続注入とAdriamycin・Lipiodolの間欠的注入を半年以上行い, 突然の投与中止までα-fetoproteinの上昇にもかかわらずperformancestatusの改善が認められ, IL2投与中断後急速な肺転移巣の進行をみた2例を報告する. 症例1は当免疫化学療法の施行前に長径9cmの主腫瘍を尾状葉に認め, 肝左葉切除・尾状葉切除と肝動脈塞栓術を施行. 症例2は後区域に長径2.5cmの肝細胞癌を認めたが臨床病期IIIであったため肝動脈塞栓術のみ施行. IL2投与開始後それぞれ9か月目と14か月目に他病のため継続投与を中止したところ, 肺転移巣の急速な増大を認め, 投与中止3週間後と4週間後に呼吸不全にて死亡した. この理由として教室で経験したIL2持続投与症例のNK・LAK活性とIL-2receptorの変動より, 長期IL2投与の中断後にリバウンド様の急激な腫瘍増殖が肺転移部で生じたものと推測された.

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