日本消化器外科学会雑誌
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急性虫垂炎の病理学的重症度と臨床所見との関係
松本 日洋延沢 進青井 泰平青木 文夫山崎 一樹鹿野 信吾片柳 照雄工藤 功男昌子 正実
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1992 年 25 巻 3 号 p. 814-822

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抄録
最近4年間に経験した急性虫垂炎211例を対象とし, 病理学的重症度と臨床所見との関係について調べた.虫垂粘膜のリンパ濾胞の腫大と壁への好中球の浸潤の程度から病理学的重症度を分類し, カタル性を軽症, 蜂窩織炎性, 壊疽性を重症とした.年齢では, 幼児, 高齢者で全例が重症例であった.症状では, 39.0℃以下の発熱例で壊疽性のみが発熱と相関した.嘔吐, 便秘が出現したり, 腹部全体痛, 疼痛の移動を示すものは重症例が多かった.反跳痛は重症例に多いが, 筋性防御は3組織型に有意差なく出現した.検査所見では, 重症例の10.0~27.6%は白血球数正常例であり, 壊疽性の出現率のみが白血球数の増加と相関した.白血球数10,000/mm3以下の重症例の60%に白血球分画が重症度の指標となった.腹部X線所見に特徴的に出現するものはなかった.腹部超音波所見での虫垂腫大, 回盲部周囲液貯留像は重症例に多かった.術後合併症の出現頻度には有意差はなかった.
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