日本消化器外科学会雑誌
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脾内に波及した膵仮性嚢胞の2手術治験例
石部 良平田中 紘輝山田 和彦石崎 直樹西村 明大吉嶺 巡平 明松元 淳
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1992 年 25 巻 9 号 p. 2421-2425

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抄録

脾内に発生した膵仮性嚢胞の2手術治験例を経験した. 症例1は27歳の男性で, 約10年間の飲酒歴を有していた. 術前診断は脾嚢胞で開腹したが, 膵尾部の強い炎症性癒着を認め膵尾部・脾合併切除術を施行した. 嚢胞内容液のアミラーゼ値が63,600So.Uと高値を示し, また病理組織学的にも脾内膵仮性嚢胞と診断された. 症例2は40歳の男性で, 飲酒歴は約20年であった. 術前, 腹部エコーなどにより脾内嚢胞を発見され, エコーガイド下に穿刺ドレナージが施行された. 嚢胞内容液のアミラーゼ値が162,780So.Uと高値であったため, 脾内膵仮性嚢胞と診断し, 膵尾部・脾合併切除術を施行した. 本症はまれな疾患で, 本邦では教室例を含めて27例の論文報告をみるのみである. また, 嚢胞穿刺により本症を診断しえたものはわれわれの1例を含めて3例のみである. 本症の治療として膵尾部・脾合併切除術が第1選択である.

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