日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
ハンドル外傷による総胆管瘢痕性狭窄の1例
上田 和光河村 正敏斉藤 肇普光江 嘉広福成 信博福島 元彦村上 雅彦石井 博新井 一成小池 正
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 26 巻 1 号 p. 126-130

詳細
抄録

鈍的外傷にて総胆管狭窄を来すことはまれである. 今回, ハンドル外傷後黄疸を来し, 手術にて軽快した1例を経験したので報告する. 症例は25歳の女性. 1991年5月6日ハンドル外傷にて肝・膵損傷と診断されるも保存的に経過観察し6日後に軽快退院した. しかし, 受傷後17日目に黄疸が出現し再入院となった. 入院時総ビリルビン値4.0mg/dlと中等度肝機能障害を認めた. 腹部超音波検査にて胆嚢と肝外胆管の著明な拡張が認められたが, 結石や膵頭部腫瘤は見られなかった. 内視鏡的逆行性胆膵管造影では中部胆管が約2.5cmにわたり辺縁平滑で全周性の狭窄が見られたが, 膵管像に異常はなかった. また, 経皮経肝胆道ドレナージによる胆汁細胞診ではclasslであり良性の総胆管狭窄症と診断した. 黄疸は徐々に改善されたが狭窄部の拡張は得られず, 受傷後58日目に胆摘・総胆管十二指腸吻合術を施行した. 術後約1年の現在元気に社会復帰している.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top