日本消化器外科学会雑誌
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肝再生因子としての小腸血の実験的検討
橋本 直樹西脇 学西岡 昭彦芦田 寛琴浦 義尚宇都宮 譲二
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1993 年 26 巻 1 号 p. 64-67

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抄録

肝再生因子としての門脈血の意義は, 以前より報告されている.今回, われわれは, 門脈因子の中で, 膵島ホルモンと小腸因子では, どちらが肝にとって大切かを検討するため雑種成犬 (10kg~15kg) に以下のモデルを作成した.(1) 脾静脈血のみをsystemicへdiversionするsplenocaval shunt, sc shunt (n=5) (2) 小腸血のみをsystemicへdiversionするpartial mesocaval shunt (partial MC shunt) n=5 (3) sham operation n=5を作成し, 術後4週目, アミノ酸, 肝ATP, 肝血流, 一般肝機能を比較し, 肝に対する影響を検討した.アミノ酸, 一般肝機能, 肝血流においては, 両群ともコントロールと比較し差は, 認められなかった.しかし, 肝ミトコンドリア呼吸能を反映する肝ATPにおいては, sc shuntでは, コントロールに近似したが, P-MC shuntは, コントロールに比べ有意に低値をとり, 門脈血の中で小腸血は, 膵ホルモンより肝にとって重要なことが示唆された.

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