抄録
大腸癌イレウス症例37例の臨床病理学的特徴を大腸癌非イレウス症例487例と比較し, さらに, 大腸癌イレウス症例の手術時期と手術術式について検討した. 大腸癌イレウス症例は70歳以上の高齢者に多く, 占居部位別の発生頻度は横行結腸, とくに左側横行結腸に高かった. 肉眼的には3型, 全周性が, 組織学的には低分化腺癌, 深達度SS以上, v (+) が非イレウス例に比べ多く, 進行した症例が多かった. 切除率, 治癒切除率はともにイレウス例で低く, 術後遠隔成績も不良であった. しかし, stageIII, IVの治癒切除症例における5年累積生存率は同じstageの非イレウス例と差はなく, 可能なかぎり治癒切除を目指すことが必要と思われた.
腸管の1期的吻合の適応については, 口側腸管の拡張が肛門側の2倍以下の症例では縫合不全がみられず, 口側腸管の拡張が肛門側の2倍以下であれば1期的吻合が可能と考えられた.