日本消化器外科学会雑誌
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肝血管筋脂肪腫の1切除例
待木 雄一二村 雄次早川 直和神谷 順一近藤 哲梛野 正人宮地 正彦長坂 徹郎
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1993 年 26 巻 12 号 p. 2836-2840

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抄録

症例は45歳の女性. 腹部CT検査にて肝腫瘍を指摘された. 単純CT検査では低吸収域として認められ. CT値は+56HUであった. dynamic CT検査では造影剤静注10秒後に腫瘍はほぼ均一に濃染し, 60秒後にはwash outされた. 腹部超音波検査では肝右葉後区域に内部は不均一な卵円型の低エコー像を認めた. MRI検査のT1-強調像では低信号域, T2-強調像では高信号域として認められた血管造影検査ではhypervascularで動脈相から静脈相にかけて均一な卵円形の濃染像を認めた. 術前診断では肝focal nodular hyperplasiaを疑い, 肝右葉後区域部分切除術を施行した. 腫瘍の割面は暗赤色で境界明瞭な腫瘍で, 病理組織検査により肝血管筋脂肪腫と診断された. 自験例は脂肪成分の割合がきわめて少ない血管筋脂肪腫であり, 非特異的なhypervascularな腫瘍の様相を呈していたため, 術前診断に難渋したものと考えられた.

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