日本消化器外科学会雑誌
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巨大腹部腫瘤を形成したmesenteric fibromatosisの1例
寺下 史朗一宮 源太小林 康人児玉 悦男道浦 準白井 康嗣谷村 弘
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1993 年 26 巻 3 号 p. 947-951

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抄録

家族性大腸ポリポーシスやGardner症候群などによく合併することで知られているmesenteric fibromatosisは単独で腹腔内に発生することはきわめてまれである.7kgの巨大腹部腫瘤を形成し腸間膜原発と考えられるmesenteric fibromatosisの1例を経験したので, 文献的考察を加えて報告した.患者は50歳の男性で, 急激な腹部膨満感を主訴に来院, 全身状態は非常に良好で画像診断では消化管の圧迫所見と下大静脈の閉塞・側副血行を認めた.悪性の後腹膜腫瘍と診断, 下大静脈の合併切除も考慮し手術を施行した.比較的容易に腫瘍は摘出しえ, 小腸原発のmesenteric fibromatosisと診断された.本症は著明な線維性組織の増触・浸潤を示すが転移をしないという特徴のある良性疾患であり腫瘍の完全摘除が比較的容易であることが多く臨床所見に惑わされることなく積極的な外科治療が望まれる.

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