日本消化器外科学会雑誌
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内瘻形成を繰り返した回盲部単純性潰瘍の1例
市原 隆夫島田 悦司裏川 公章上田 隆長谷川 恭久西川 淳介神垣 隆植松 清岩越 一彦石田 武
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1993 年 26 巻 5 号 p. 1291-1295

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抄録
症例は41歳の男性.1987年8月頃より微熱をともなった右下腹部痛のために来院.注腸造影, 小腸造影検査および大腸内視鏡検査にて, 腸間膜対側盲腸の回盲弁直下と回腸末端に周提隆起をともなった境界明瞭な類円形の深い潰瘍があり, 両潰瘍は互いに内瘻化していた.回盲部切除を行い, 組織学的には回盲部単純性潰瘍と診断された.術後8か月頃より吻合部近傍の肛門側の上行結腸の潰瘍と, それより約60cm口側の潰瘍が互いに内瘻を形成しており, 再手術を行った.Salazosulfapyridine投与にて再手術術後2年1か月経過したが, 再発をみていない.回盲部に好発する単純性潰瘍の合併症としては穿孔が多く, クローン病と異なり瘻孔形成はまれとされており, 本症のように初発時, 再発時ともに内瘻を繰り返した報告例は少ない.
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