日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
広範囲肝切除後の高ビリルビン血症とその病態に関する臨床的検討
黄疸肝, 硬変肝, 正常肝の比較
初瀬 一夫青木 秀樹村山 道典庄野 聡井戸田 望玉熊 正悦
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 27 巻 1 号 p. 37-44

詳細
抄録
広範囲肝切除後のビリルピンの変動とその病態を検討するため, 2区域以上の肝切除を施行した硬変合併肝癌 (LC群) 7例, 閉塞性黄疸肝 (OJ群) 5例, 正常肝 (N群) 12例を対象とし, 術前, 術後1, 4, 7日目にビリルビン, エソドトキシン, アンモニア, 意識状態などを比較検討した. OJ群は術後4, 7日目にLC群, N群に比べ総ビリルビンが有意に高く, それも直接ビリルピンが優位であった. アンモニアは術前よりOJ群, LC群が高値で, 4, 7日目ではOJ群が最も高値を示した. 一方, エンドトキシンはLC群が術前, 1日目と高値で, OJ群はN群とほぼ同一の推移を示した. 肝性脳症はOJ群2例, LC群2例にみられ, 直接型優位で総ビリルビンが5mg/dl以上の症例であった. しかもOJ群では全例エンドトキシンが21pg/ml以上であるのに対し, LC群, N群では経過良好群にも高値を示すものがみられた. 以上からOJ群はN群, LC群に対する肝切除に比べエンドトキシンに感受性が高く, 術後黄疸の遷延, 肝性脳症を伴いやすいことが示唆された.
著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top