日本消化器外科学会雑誌
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大腸癌, 胃癌, 肺癌症例における癌抑制遺伝子p53の免疫組織学的検討およびSSCP法による点突然変異検出との比較
片岡 正文岡林 孝弘中島 明中谷 紳上平 裕樹武田 晃折田 薫三能見 貴人金澤 浩
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1994 年 27 巻 1 号 p. 71-77

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抄録
大腸癌, 胃癌, 肺癌の手術切除例において, p53蛋白の発現異常を免疫組織学的に検討し, さらにその結果が遺伝子変異をどの程度反映しているかを検討するために, reverse transcription-polymerase chain reaction-single strand conformation polymorphism (RT-PCR-SSCP) 法および直接シーケンスにて点突然変異の検出を行った.免疫組織染色は, マイクロウエーブ固定標本を使用し, 抗p53蛋白モノクローナル抗体 (PAb1801) を用いて行った.大腸癌13例中9例 (69.2%), 胃癌8例中5例 (62.5%), 肺癌5例中弓例 (80.0%) に陽性所見が認南られたが, 臨床病理所見との相関関係は認められなかった, RT-PCR-SSCP怯では大腸癌13例中日例に異常を認め, 両方法間の一致率は84.6%であり, 点突然変異が免疫組織所見によく反映された, p53蛋白の発現異常は60%以上の陽性率を示し, 幅広い腫瘍マーカーとしての可能性が示唆された.また, RT-PCR-SSCP法により点突然変異の検出が簡便に行えた.
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