日本消化器外科学会雑誌
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腹腔鏡下Taylor法迷走神経切離術の1例
金平 永二森 明弘疋島 一徳中村 寿彦宮崎 誠示大村 健二渡辺 洋宇
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1994 年 27 巻 1 号 p. 97-101

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抄録
われわれは本邦ではじめての腹腔鏡下Taylor法迷走神経切離術 (後幹切離+胃小彎前壁漿膜筋層切開) を施行したので報告する.
患者は19歳の男性で, 14か月にわたりプロトンポンプ・インヒビターまたはH2ブロッカーを含む抗潰瘍薬による治療を継続したが, 十二指腸潰瘍の再発を繰り返したため, 迷走神経切離術の適応と考え手術を施行した.
上腹部に挿入した5本のトラカールから腹腔内の操作を行った.まず食道裂孔部で迷走神経後幹を切離した.次に小彎線から1.5~2cm離れた胃前壁で, crow'sfootの口側枝からHis角の後壁に至る範囲の漿膜筋層を切開した.切開部は縫合, 閉鎖した.手術時間は3時間30分であった.
術後胃排出能障害はみられず, 内視鏡検査では十二指腸潰瘍は瘢痕治癒していた.胃酸分泌検査ではBAOおよびMAOの減酸率はそれぞれ93.3%, 88.3%と良好であった.
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