1994 年 27 巻 10 号 p. 2347-2351
通常型膵頭部癌切除282例を対象に, 進展・再発形式から拡大手術の評価と術中放射線療法の有効性を検討した.膵外への直接進展は93%に見られ, stage III, IVの進行癌が86%を占めた.拡大手術の治癒切除率は49%と有意に向上し, 術後合併症発生率, 手術死亡率はおのおの19%, 4%と安全に行われた.拡大手術の1生率, 3生率, 5生率は各々44%, 13%, 9%で, 5年生存例10例を得た.治癒切除例の再発形式は, 後腹膜再発, 肝転移が63%, 46%と高率であった.1988年以降, 術前進展度診断による適応選択を行い, 臨床病期IV期を拡大手術の適応外とした結果, 1987年以前に比べて生存率は有意差はないがやや良好である傾向が認められた.切除例に対する術中放射線療法は, 初期のプロトコールでは生存率・再発形式の面からは有効性は認められず, 現在は, 拡大手術と同様の適応選択を行ってprospective randomized studyにより術中放射線療法の有効性を検討している.