日本消化器外科学会雑誌
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穿孔性腹膜炎を発症した消化管アミロイドーシスの2例
二宮 致西村 元一橋本 之方野々村 昭孝
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1994 年 27 巻 11 号 p. 2471-2475

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抄録
穿孔性腹膜炎を発症した2例の消化管アミロイドーシスを経験した.症例1は56歳の男性で, 慢性腎不全のため19年間週3回の血液透析を受けていたが, 穿孔性腹膜炎を併発し緊急手術が行われた.大腸壁は薄く結腸ヒモは肥厚し白色を呈し, S状結腸に径約1cmの穿孔を認めた.病理学的検索では, S状結腸粘膜下の血管壁および筋層の一部にβ2-ミクログロブリン由来のアミロイドの沈着が認められ, 大腸穿孔の原因を長期透析による続発性消化管アミロイドーシスと診断した.症例2は68歳の男性であり, 慢性腎不全精査中に発見された右腎癌に対し右腎臓摘除術施行された.術後穿孔性腹膜炎を併発開腹手術施行された.Treitz靱帯より約1mの空腸に径約5mm大の穿孔を1か所認めた.病理学的検索では, 穿孔部周囲の空腸の粘膜下の血管壁および腎内の小血管壁に免疫グロブリンκ鎖由来のアミロイドの沈着を認めた.空腸穿孔の原因は原発性全身性アミロイドーシスであると考えられた.
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