日本消化器外科学会雑誌
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骨盤腔内後腹膜に発生した巨大神経鞘腫の1例
目黒 英二岡本 和美多田 隆士細井 義行米山 幸宏斎藤 和好
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1994 年 27 巻 11 号 p. 2495-2499

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抄録

神経鞘腫は顔面・頸部に好発する良性腫瘍であり, 後腹膜に発生することは比較的まれである.また神経鞘腫は脊髄腫瘍中では高頻度にみられるが, 胸椎部に多く仙椎部の発生はまれである.今回仙骨破壊を伴い骨盤腔内に発生した神経鞘腫の1例を経験したので報告する.症例は60歳の男性.主訴は排便困難, 1990年頃より排便困難が出現.!993年12月14日, 当院脳神経外科を受診し, 精査にて骨盤腔内に仙骨神経 (S2) より発生した脊髄腫瘍と診断され当科紹介となった.血管造影では悪性所見は認めないが, CT検査およびMRI検査にて第2仙骨より骨盤腔に脊髄と連続する直径10cm大の内部壊死を伴う腫瘍を認め, 神経原性骨盤内腫瘍と診断した.1994年1月17日に手術を施行し, 経仙骨的に仙骨神経 (S2) に連なる茎を切断した後, 経腹的に腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的には紡錘型細胞が束状に増殖しAntoni type Aとtype Bが混在し, 免疫染色ではS-100とNSEが陽性であり骨盤腔内の神経鞘腫と診断された.

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