日本消化器外科学会雑誌
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早期胃癌に対する各種縮小手術の選択
熊井 浩一郎才川 義朗小川 信二大谷 吉秀大上 正裕久保田 哲朗北島 政樹
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1994 年 27 巻 4 号 p. 937-941

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抄録
教室の早期胃癌切除例では, sm癌には16.8%のリンパ節転移が認められたが, m癌では456例中11例2.4%のみであった. 教室では1977年縮小手術 (D1+No.7, 2/3胃切除) を採用し, 標準手術 (D2) と遜色ない遠隔成績を得たが, 術後QOLの点ではなお不十分であった. この点, 内視鏡下粘膜切除術 (EMR) は良好であった. しかし, EMRは病変部位や大きさによっては完全切除率が70%程度と低いことから, 適応は1cm程度までにとどめ開腹縮小手術との間の選択肢として腹腔鏡下胃局所切除を開発した. 4例に実施したが, 低侵襲性で術後QOLは良好で, 胃壁全層の切除標本から根治性に関する病理組織学的情報が得られる利点がある, m癌の術前診断率は超音波内視鏡併用などにより向上したので, 現在はsm癌には標準手術, m癌に対してはEMR, 腹腔鏡下胃局所切除術, 開腹縮小手術の選択的適応が可能である.
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