抄録
完全型原発性虫垂重積症 (primary appendiceal intussusception, complete type) のまれな1例を経験したので報告する.症例は22歳の男性.繰り返す右下腹部痛, 嘔気, 嘔吐を主訴として来院.注腸造影X線検査および大腸内視鏡検査にて回盲部の過形成性ポリープと診断し, 内視鏡的ポリペクトミーを試みたが切除不能のため開腹術を施行した.開腹所見で虫垂重積症と診断し回盲部切除を行った.切除標本では重積の先進部に病変を認めず, 虫垂のみが完全に盲腸内に内翻, 重積していた.術前の検査所見について検討したところ, 腹部超音波所見が診断確定に有用と考えられた.