日本消化器外科学会雑誌
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胃癌切除前後の胆嚢胆汁組成の変化
杉山 譲森谷 洋羽田 隆吉小堀 宏康清藤 大三上 泰徳鈴木 英登士今 充
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1994 年 27 巻 7 号 p. 1765-1770

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抄録

胃癌切除後胆石症の原因の1つと考えられる胆汁組成の変化および胆汁感染について知るために, 胃癌切除患者15例 (以下, 対照群) と胃癌切除後胆石症患老7例 (以下, 結石群) より得られた胆嚢胆汁を分析し, 比較, 検討した. 結石種類はビリルビソカルシュウム石 (以下, ビ石と略記) 5例, 黒色石, 混合石各1例であった. 胆汁感染は対照群にはなく, 結石群のビ石5例中4例に認めた. 結石群 (経皮経肝的胆嚢ドレナージ2例省く) では対照群に比べケノデオキシコール酸が有意に減少 (p<0.039), 有意差はないが総胆汁酸, コレステロール, リソ脂質, ビリルビン, 総カルシュウムも減少, 総じて胆汁脂質の減少傾向がみられた. 遊離型胆汁酸は対照群には検出されず, 結石群のうち胆汁感染陽性ビ石3例にのみ検出された. ビ石と胆汁感染との関連性が強く示唆されたが, 胆汁感染が少ないとされる黒色石の成因を説明するには不十分で, 今後の検討が必要と思われた.

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