1995 年 28 巻 10 号 p. 2012-2016
肝内外胆管走行異常を伴った胆石症例に対して, 術前に内視鏡的経鼻胆道ドレナージチューブ (ENBDT) を留置し腹腔鏡下胆嚢摘出術 (LC) を実施しえたので報告する.
症例は47歳の女性, 胆石症. 術前ERCPで肝内外胆管の走行異常を指摘された. 胆管造影で, 総胆管背側から右肝管後区域枝が独立し分岐し, 胆嚢管はその右後区域枝から分岐していた. さらに肝内で右肝管の前枝と後枝に合流がみられる特殊型であった. 経静脈性胆道造影 (DIC) 後にHelical CTを行い胆道立体描出 (3D-CT) 像も得て, 胆管走行を確認した. 術前にENBDTを留置し翌日手術を行った. LC術中に適宜ENBDTからの造影を行い, 術野と胆管像および3D-CT像との関係を確認しつつ手術を進めた. ENBDTからの造影は胆管同定に有効で, 胆管損傷なしにLCを完遂可能であった.