日本消化器外科学会雑誌
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細小肝癌切除例における肝切除範囲と予後に関する検討
松田 康雄位藤 俊一瀬尾 雄二初岡 慎一伊藤 伸子岩田 圭司藤川 正博大口 善郎野村 康晴薮内 以和夫
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1995 年 28 巻 3 号 p. 656-661

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抄録

細小肝癌切除耐術42例を対象に, 肝切除範囲がその術後成績に及ぼす影響について検討する目的で, 上記対象を, HrS以下の小範囲肝切除群 (n=28) とHr1以上の広範囲肝切除群 (n=14) の2群に分類しその背景因子, 術後成績について比較検討した.
その結果, 肝予備能を中心とした宿主側因子, 腫瘍側因子については両群間に有意の差を認めず, 手術因子についても切除肝重量, 術中出血量を除けば両群間に有意の差を認めなかった.術後累積生存率は, 小範囲切除群3年88%, 5年54%, 広範囲切除群3年100%, 5年75%と後者において若干良好な傾向を認めるものの統計学的に両群間に有意の差を認めなかった.また, 累積再発率においても有意の差を認めなかった.
以上の結果より, 細小肝癌においては肝予備能上, 広範囲肝切除が許容されない場合, HrS以下の小範囲肝切除にても十分良好な予後が期待できるものと考える.

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