日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
血清Granulocyte colony-stimulating factorが高値を呈し白血球増多を来した肝内胆管癌の1例
玉井 修松本 光之中本 尊宮国 孝男白石 祐之山田 護草野 敏臣武藤 良弘
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 28 巻 5 号 p. 1100-1104

詳細
抄録

症例は78歳の男性.平成5年11月に38℃ を超す発熱で発症した.近医に入院し精査の結果US, CTにて肝尾状葉に膿瘍を疑わせる所見を認め, 40℃ 以上の高熱が持続し著明な白血球増多を認めた.経皮経肝ドレナージを試みたが病変は実質性であり, 生検により腺癌と診断された.その後急速に腫瘍の増大と黄疸が進行し発症から80日目に死亡した.
剖検の結果, 腫瘍は低分化の肝内胆管癌であり, 非癌部の肝組織の類洞および間質に著明な好中球の浸潤とグリソン鞘の線維化そしてfocal necrosisが認められた.また, 骨髄組織はhyperplasticであり, 患者血清中のGCSFは129pg/mlと高値を示していた.以上より著明な高熱と白血球増多の原因は腫瘍のGCSF産生による.あるいは2次的な高GCSF血症に起因するものと考えられた.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top