日本消化器外科学会雑誌
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名古屋記念病院における消化器癌に対するインフォームド・コンセントの実際
末永 昌宏国場 良和田中 穣飛永 純一山中 秀高初野 剛内村 正史
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1996 年 29 巻 10 号 p. 1987-1991

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抄録

癌と免疫と地域医療を掲げ1985年に設立された当院は, 患者に正確な情報を伝え十分に理解を得た後に検査, 治療を行う-インフォームド・コンセント (IC)-が正しい医療のあり方とし, 87年IC委員会を発足し日本的土壌や当院にあったICを求めた. 医療は患者自身の意思, 選択が基本とし, 90年から入院患者と家族に医療に関しての考え方を調査した. 癌患者に対する手術, 化学療法などの治療法とその治療効果, 危険性, 副作用の説明に関して癌の告知は大きく関係するため家族や院内フォロー体制を整え, 患者の意思に従って告知を進めた. 消化器癌手術患者527名中82%が告知を希望し, 74%に告知した. 90年には52%の告知率が95年には88%となった. 生存者に対するアンケート調査では大部分の患者が当院での告知に対して満足の回答をした. 結語: 患者の意思を尊重し, フォロー体制を整えた上での癌の告知は日本的土壌の中でも進めうる.

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