日本消化器外科学会雑誌
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十二指腸乳頭部gangliocytic paragangliomaの1例
国府 育央山田 克己山本 正之小林 貢彭 英峰秋山 洋介平位 洋文北野 秀武門根 謙介辻 求
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1996 年 29 巻 12 号 p. 2284-2288

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抄録

症例は58歳の女性. 主訴は特になし. 現病歴は検診にて胃前庭部に隆起性病変を指摘され, 当院を受診. 内視鏡検査にて胃に異常を認めず, 乳頭部に隆起性病変を認め乳頭部癌疑いにて入院となった. 上部消化管X線検査では, 乳頭部に表面平滑な隆起性病変を認めたが, CT検査, 血管造影検査, ERCPでは特に異常は認められなかった. 生検で悪性細胞は認められなかったが, carcinoidを強く疑い, 膵頭十二指腸切除術を施行した. 切除標本では乳頭部に約2cmの病変が認められた. 病理組織学的所見ではepithelioid cellが胞巣状に配列し, これを囲むようにspindle cellが増殖していた. また, 少数のganglion-like cellが認められた. 免疫組織学的にはneuron specific enolase, S-100, pancreaticpolypeptideなどに陽性を示し, gangliocytic paragangliomaと診断した. 本疾患は本邦では自験例も含めて16例であり, 文献的考察を加えて報告した.

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