日本消化器外科学会雑誌
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インスリノーマ切除後7年目に残膵に発生した多発インスリノーマの1例
畑中 正行今泉 俊秀羽鳥 隆中迫 利明原田 信比古秋山 和宏片桐 聡羽生 富士夫高崎 健
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1996 年 29 巻 12 号 p. 2299-2303

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抄録

症例は45歳の女性. 1987年に低血糖症状を認め, 他医にてインスリノーマの診断で膵体尾部切除術が施行された. その後, 経過良好であったが, 1994年8月頃より再び低血糖症状を認めるようになりUS, CT, 血管造影で, 残膵の膵頭部 (φ5mm) と膵体部 (φ15mm) に計2個のhypervascularityを示す腫瘤を認めた. PTPS法で同部のIRI値のstepupを認めたため, 残膵に発生した多発インスリノーマと診断し, 術前診断しえなかった膵頭部の小腫瘤 (φ31nm) も含め, 計3個の腫瘍を摘出した. 術中US, 術中Quick IRI法にて腫瘍の完全摘出を確認した.12か月経過した現在, 低血糖症状の再発はみられていない. 本例は, インスリノーマ切除後7年間の長期間経過した後に残膵に発生した異時性多発インスリノーマに対し, 再切除しえた症例であり, きわめてまれであると思われた.

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