1996 年 29 巻 3 号 p. 677-683
胃癌組織CEA局在様式と術前血清CEA値の予後規定因子としての有用性を検討した. 過去8年間の胃癌切除例450例を対象に, 血清CEA陽性78例と陰性372例の生存率を比較した. また1982年から1984年に経験した胃癌切除150例についてCEA免疫組織染色を行い, CEA局在様式を陰性 (G0), apical (GI), cytoplasmic (GII)), stromal (GIII) typeに分類し, GEA局在様式と予後との関係を検討した. その結果, 血清CEA陽性群は陰性群に比べ, 有意に予後不良であったが, 陽性群に肝転移例などの進行例が多かった. 組織CEA陽性群の生存率は, 陰性群に比べ明らかに不良で, 局在様式別ではGI, G0, G (II+III) の順で有意に不良であった. 組織CEA局在様式別生存率は血清CEA陰性群においても, GI, G0, G (II+III) の順で有意に不良であった.
組織CEA染色, とくに局在様式と術前血清CEA測定は胃癌患者の予後を推定する上で有用であることが示唆された.