日本消化器外科学会雑誌
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経胸的マイクロ波凝固壊死療法を施行した肝細胞癌残肝再発2症例の検討
石村 健岡田 節雄若林 久男前場 隆志前田 肇
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1996 年 29 巻 4 号 p. 824-827

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抄録
肝細胞癌の術後残肝再発に対し, 経胸的アプローチによりマイクロ波凝固壊死療法 (MCT) を施行し, 良好な経過を得た2症例を経験したので報告する.症例1は74歳の男性で, 2度の肝切除の既往があり, 2回目の残肝再発に対する手術時に高度の癒着のため出血量の増加を認めた.今回, S7に再発巣が認められた.症例2は62歳の男性で, S4部分切除後, S8に再発巣を認めた.2例とも横隔膜下の単発の再発で, 肝機能上再切除は困難であると判断し, 開胸下にMCTを施行した.症例1では経横隔膜的に, 症例2では横隔膜を切開した後に, 電極針を穿刺した.何れも出血量が少なく, 横隔膜麻痺も認められず低侵襲の手術が可能であり, 術後経過も良好であった.また術後のCT所見でも良好な治療効果が得られたと考えられた.開胸下MCTは, 特に肝細胞癌の術後再発症例に対し有効な外科的治療手段の1つになりうると考えられた.
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