肺塞栓症は近年増加の傾向にあり, 急死の一因となることも認識されてきた.われわれは1993年1月より1994年12月までの2年間に4例の急性肺塞栓症を経験した.これはこの時期に経験した全麻下消化器外科症例の0.45%に相当した.全例肺動脈撮影で診断し, 同時にカテーテルよりurokinaseを投与した.末梢よりヘパリンの持続投与も併用し, 全例救命した.抗凝固療法によると思われる合併症は経験せず, 急性肺塞栓症にはカテーテルよりの肺動脈内urokinase投与と末梢からのヘパリン持続静注が有効であると思われた.