日本消化器外科学会雑誌
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胃癌に併存した腹膜偽粘液腫を伴う虫垂原発粘液嚢胞腺癌の1例
工藤 俊川村 博司鈴木 祐子松嵜 正實仁科 盛之亀山 仁一塚本 長
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1996 年 29 巻 8 号 p. 1820-1824

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抄録

胃癌に併存した腹膜偽粘液腫を伴う虫垂原発粘液嚢胞腺癌の1例を報告する.症例は61歳の女性.1995年1月11日, 腹部膨満感のため来院した.入院, 精査にて早期胃癌と原因不明の腹水を認めた.1月25日, 手術施行.開腹時, 約500gのゼラチン様物質の貯留と破綻した虫垂粘液嚢腫を認めた.原因不明の腹水は虫垂粘液嚢腫原発の腹膜偽粘液腫と判断した.胃癌に対しては胃亜全摘, 虫垂粘液嚢腫に対しては悪性の可能性あり回盲部を切除 (D2) した後, 粘液の徹底的除去と約10,000mlの生理的食塩水による腹腔内洗浄を施行した.病理検索の結果, 胃癌と虫垂粘液嚢胞腺癌の同時性重複癌と診断された.術後約1年経過した現在再発なく経過中である.虫垂粘液嚢胞腺癌が胃癌に併存して認める例は非常に少なく, 特に腹膜偽粘液腫を伴う症例は, 本邦では他に報告がみられなかった.

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