日本消化器外科学会雑誌
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表面型直腸早期癌の治療方針
倉本 秋小林 薫味村 俊樹山崎 一樹橋本 政典酒井 滋上西 紀夫大原 毅
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1997 年 30 巻 4 号 p. 955-960

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抄録
1985年1月から95年11月までに当科で治療された直腸表面型早期癌41例 (m癌20病変, sm癌21病変) の治療方法, 臨床病理学的特徴, 治療成績を検討した.m癌の内視鏡切除術の適応は直径20mm以下で, 断端陽性, 合併症は見られなかった.深達度smの表面型早期癌は浸潤傾向の強い癌で, 52.4%が脈管侵襲を伴っていた.Type Bのelevated type with depressionは, 全例が脈管侵襲陽性で, D2以上の郭清をともなった手術が必要で, 肛門縁から5cmの距離があれば仙骨腹仙骨式超低位直腸切除術のよい適応である.それ以外のRbの表面型早期癌では, 術前の深達度診断に合わせて, 直腸傍リンパ節のみの郭清を直視下に行う仙骨式楔状切除術, 環状切除術を最終治療手段として行うことによって, 再発なく肛門機能温存が可能と考えられた.下部直腸表面型早期癌に対しては, 内視鏡治療と通常郭清手術の問に, 直腸傍リンパ節の郭清を行う後方アプローチを位置づけることが妥当である.
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