日本消化器外科学会雑誌
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食道癌術後凝固線溶系に対するメチルプレドニゾロン術前投与の効果
肥田 圭介佐藤 信博池田 健一郎大塚 幸喜木村 祐輔青木 毅一細井 信之岩谷 岳石田 薫斎藤 和好
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1998 年 31 巻 10 号 p. 2039-2045

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抄録

食道癌術後には過大侵襲により凝固亢進状態が生じ術後合併症, 臓器障害の発生に関与することが知られている. 食道癌術後凝固線溶系に対するメチルプレドニゾロン (MP) 術前投与の効果を検討する目的で胸部食道癌20例を対象として, MP10mg/kg投与群10例 (MP群), 対照群10例 (C群) を無作為に割り付け検討を行った. 術後C群では血小板数の低下, APTTの延長, AT-III, Plgの低下と凝固亢進, 線溶抑制状態を認めたが, MP群ではAPTTの延長とAT-IIIおよびPlgの低下が有意に抑制されていた. IL-6, CRP, 尿中NAGはMP群で有意に低値で推移し, 人工呼吸期間, SIRS期間も短縮していた. 食道癌手術侵襲に対する術後凝固亢進状態はMP術前投与により制御可能であり, 凝固線溶系上からも術後臓器障害および手術侵襲の軽減に関与するものと考えられた.

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