日本消化器外科学会雑誌
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膵酵素および胆汁酸がラット食道上皮細胞機能に及ぼす影響に関する電気生理学的検討
岩附 昭広佐々木 巖神山 泰彦内藤 広郎舟山 裕士松野 正紀
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1998 年 31 巻 5 号 p. 1051-1056

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抄録
目的: 胃全摘後逆流性食道炎の発生機序に関して, trypsinおよび胆汁酸の食道上皮細胞機能に及ぼす影響を電気生理学的に検討した. 方法・成績: ラット食道粘膜を用いUssing chamber法にて食道上皮細胞機能を電気生理学的に検討した. 食道経上皮電気抵抗はtrypsin 10-4M投与にて抗与前と比べ有意な低下を, また食道経上皮電位および短絡電流量はtrypsin 10-3M投与にて有意な高値を示した. また, trypsin10-3M投与後にみられた短絡電流量の上昇はamiloride投与で有為に抑制された. 一方, 胆汁酸であるタウロコール酸ナトリウム投与後はいずれも有意な変化は認めなかった. 結論: 非酸性環境下においては, 膵酵素投与にて食道粘膜細胞における電気抵抗の低下とNaイオンを主とした電解質輸送能に変化がみられるが, 胆汁酸による影響は少ない. 胃全摘後の逆流性食道炎発生には胆汁に比べて膵液逆流の影響がより重要と考えられた.
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