抄録
肝細胞癌を対象として, magnetic resonance imaging (MRI) による肝動脈化学塞栓療法 (TACE) の治療効果判定を行った. 治療効果良好例に特徴的な単純MRI所見は, T1強調画像における信号強度の増加とT2強調画像における低信号腫瘍の出現であった. 各種画像診断から算出した腫瘍壊死率はdynamic CT86%, dynamic MRI66%, DSA64%であった. Dynamic MRIはリピオドールの集積部位においても組織学的な腫瘍壊死効果を正確に反映していた. Dynamic MRIから算出した腫瘍壊死率と腫瘍縮小率との間には有意な正の相関を認めた (r=0.47, p<0.05). 今回の検討から, dynamic MRIによりTACEの治療効果判定が正確かつ早期に可能であることが明らかとなった.