1999 年 32 巻 10 号 p. 2457-2462
胸部食道癌の占居部位別, 深達度別至適リンパ節郭清領域を転移頻度や治療成績などを考慮して検討した. 頸部郭清は, n (+) のIm例で上縦隔リンパ節転移が無い症例のみで有効 (p<0.05) であり, 上縦隔リンパ節転移数が多い症例での効果は期待できないと思われた. 上縦隔郭清は多くの症例で有効 (p<0.05) であった. 転移率からは以下のことが考えられた.
Iu例: 頸部上縦隔郭清は必要だが, a1以下ではNo7, 8, 9リンパ節の郭清は不要.
Im例: a2以上では頸部郭清の必要性があるがsm2以下では外側区の省略可能で, sm3~a1でも内側区が確実に郭清され緻密な経過観察ができれば外側区の省略可能. 上縦隔徹清は必須. No8リンパ節郭清は表在癌では必要ない.
Ei例: 頸部郭清はsm3~a1で適応と成り得る. sm2以下, Ea近傍では上縦隔郭清省略の可能性あり. sm3以上ではNo8リンパ節郭清は必要. a2以上でNo16リンパ節郭清必要の可能性あり.
Ea例: 頸部上縦隔郭清の必要性は少ない.