日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
僧帽筋原発平滑筋肉腫を合併した遺伝性非ポリポーシス大腸癌の1例
竹内 邦夫都築 靖安藤 哲小林 正則萬田 緑平野内 達人
著者情報
ジャーナル フリー

1999 年 32 巻 8 号 p. 2153-2157

詳細
抄録

僧帽筋原発平滑筋肉腫を合併した遺伝性非ポリポーシス大腸癌 (hereditary non-polyposis colorectal cancer; HNPCC) の1例を経験したので報告する. 症例は55歳の男性. 24歳時に上行結腸癌, 35歳時に横行結腸癌, 54歳時にS状結腸癌で手術を行っている. 家族歴では母に大腸癌, 父に胃癌, 兄弟に大腸癌2人, 肝臓癌1人, 母方の叔父に大腸癌1人, 母方の従兄弟に大腸癌1人を認めた. 今回, 右肩の腫脹を主訴に近医を受診. 穿刺細胞診でclass Vの診断を受け, 当科に紹介され入院となった. 精査の結果, 右側肩甲筋群内悪性腫瘍の診断で, 腫瘍摘出術施行. 病理組織診断では僧帽筋原発平滑筋肉腫であった. 術後6か月目に局所再発および肺転移により死亡した. HNPCCは大腸以外の他臓器にも高率に悪性腫瘍を併発するが, 自験例のように軟部悪性腫瘍を合併した症例は極めてまれである.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top