日本消化器外科学会雑誌
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腸管手術における生体内分解性吻合リング使用症例の検討
牧野 正人谷口 哲也山根 成之倉吉 和夫木村 修貝原 信明
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1999 年 32 巻 8 号 p. 2163-2166

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抄録

生体内分解性吻合リング (以下, BAR) を用い腸吻合を行った71例74吻合を検討した (小腸-小腸: 5, 小腸-大腸: 25, 結腸-大腸: 44吻合). 1) BARの崩壊・脱落は小腸-大腸吻合で平均術後18日, 結腸-大腸吻合で術後20日であった. 2) 吻合時間は平均21分であった. 3) 縫合不全が2例 (3%), 創感染は5例 (7%) に認められた. 4) BAR吻合に特徴的な合併症として, 術後10日-2週間目にイレウスを含む腹痛, 嘔吐が20例 (28%) に認められた. これは大腸の関与した吻合で認められ, 25mm-BAR使用例で多くみられた. この腸管閉塞症状は緩下剤投与により制御可能であった. BAR吻合では標準的で安全な吻合が短時間で得られる. しかし, 25mmサイズのBAR使用の場合には, 閉塞症状発現に注意が必要で, BARが排出される術後約3週間までは緩下剤投与による排便コントロールを要する.

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