日本消化器外科学会雑誌
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胃切除後の難治性ダンピング症候群に対する1手術例
吉田 徹田内 克典土屋 康紀廣川 慎一郎坂本 隆塚田 一博
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2000 年 33 巻 5 号 p. 600-604

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抄録

症例は57歳の男性. 20歳時に十二指腸潰瘍にて広範囲胃切除, Billroth I法再建術をうけた. 術後間もなくより食後約20分での全身の熱感, 発汗, 動悸を自覚しており, 44歳時には内服治療を受けるも軽快せず, 当科受診した. 入院後, 抗セロトニン剤, 体液性アミン拮抗剤, 抗キニン剤, 漢方薬などの薬物治療を試みたが効果なく, Billroth I法からRoux-en-Y法への転換手術を施行した. 術後, 愁訴は消失. 術後23病日のシンチグラフィー, 24病日の透視では術前と比較し胃内容の小腸への流出が遅延しており, 手術の効果を示していた. また, 75gブドウ糖負荷試験では, 負荷15分後のセロトニン値の変動が術後には消失しており, ダンピング症候群とセロトニンの関与が示唆された. 術後2年を経過した現在も症状の再発は認めていない. Roux-en-Y手術は難治性ダンピング症候群に対し, 考慮すべき治療法と考えられた.

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