日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
急性腹症にて発症したAIDSにおける腸結核の1例
松尾 浩山内 一近藤 哲矢三鴨 肇渡辺 進下川 邦泰
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 33 巻 5 号 p. 658-662

詳細
抄録

急性腹症と発熱にて発症し, 手術後施行した検査にてAIDSと診断された腸結核の1例を経験したので報告する.
症例は22歳の女性. 40℃の発熱と軽い腹痛にて当院を受診した. 腎盂腎炎と診断され治療を受けたが発熱は軽快せず, 右下腹部に強い痛みが出現したため当科を受診した. 右下腹部に強い筋性防御を認め, 腹部超音波検査にて同部に低エコー腫瘤を認めた. 膿瘍を伴った虫垂炎を疑い手術を施行した. 回腸末端は手拳大に腫大し, 腸間膜リンパ節は大動脈周囲まで腫大していた. 悪性腫瘍が否定できず, 同部に通過障害を認めた事から回盲部切除術を施行した. 病理組織学的には類上皮細胞を伴った乾酪壊死をみとめ, 喀痰および便の培養検査にて結核菌が検出されたことから腸結核と診断した. 術後も高熱が続き, HIV検査を施行したところ陽性反応を認めた. 結核治療を開始したが発熱が続いたため, 患者は第25病日, AIDS拠点病院へ転送された.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top