日本消化器外科学会雑誌
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上行結腸原発悪性りんぱ腫と直腸癌の同時重複の1例および文献からみた臨床的特徴
青木 孝文笹野 満池内 大介泉 冬樹杉原 洋行
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2001 年 34 巻 1 号 p. 54-58

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抄録

症例は70歳の男性で, 腹痛にて来院し腸閉塞と診断された. 注腸造影検査で上行結腸に5cmの不整陰影欠損像と直腸に2.5cmの2型様腫瘤像を認めた. 大腸内視鏡検査の生検で, 直腸では高分化腺癌と診断された. CTで肝脾腫瘍や後腹膜りんぱ節腫大はない. 開腹時, 上行結腸起始部に小児手拳大腫瘤と2群りんぱ節転移を認め, 腹膜翻転部直上に直腸癌を認めた. 右半結腸切除と直腸前方切除を施行した. 切除標本で, 回盲弁より3cm肛側の上行結腸に5×7.5cmの全周性腫瘤と, 2.7×1.8cmの直腸癌を認めた. 病理組織検査で, りんぱ節転移を伴う上行結腸悪性りんぱ腫と直腸腺癌と診断された. 大腸原発悪性りんぱ腫と大腸腺癌の同時重複例の文献は15編, 15例を検索しえた. この内7 例が両腫瘍の発生場所が異なる同時重複例で, 自験例は日・英文献上8例目である. 同時重複例での悪性りんぱ腫は, 単発例に比べて有意差はないが, 直腸にやや多い傾向を認めた.

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