日本消化器外科学会雑誌
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U領域早期胃癌に対する噴門側胃切除術, 空腸嚢間置再建法の臨床的検討
藪崎 裕梨本 篤田中 乙雄瀧井 康公土屋 嘉昭佐々木 壽英
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2001 年 34 巻 11 号 p. 1568-1576

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抄録

はじめに: 噴門側胃切除術, 空腸嚢間置術再建法 (JPI) の評価と問題点を検討した. 方法: JPI 49例と同時期の胃全摘術, Rouxen Y再建術41例とを1. 手術侵襲, 2. 術後合併症, 3. 内視鏡検査所見, 4.栄養指標, 5. アンケート調査の各項目について比較検討した. 結果: 両群の背景因子に差はなく原病死は認めない. 手術侵襲, 術後合併症, 内視鏡検査による吻合部狭窄, 逆流性食道炎に差は無かった. JPIに食物残渣11.8%, 残胃炎14.7%を認め, 逆流性食道炎の程度が強くなると, 残渣と残胃炎は増加した. JPIの体重変動は, 術後6か月目, 1年目で良好であった (p=0.0132, 0.0462). TP, T-Cholesterol, Hemoglobinの変化に差はなく, Vitamin B12は, 2年目以降では高い傾向であった. アンケート調査の結果, 術後早期ではJPIは食欲・嘔気・嘔吐・早期ダンピング症候群・下痢に関し良好であった (p=0.0162, 0.0014,<0.0001, 0.0051). また, 逆流性食道炎症状は多いが (p<0.0001), 改善の傾向がみられ, 術後2年以降での食事摂取量は良好であった (p<0.0001). 考察: JPIは体重, 食事摂取量など, 術後早期の段階では良好な成績であったが, 逆流性食道炎症状, Vitamin B12を含めた最終的な評価には, 術後長期の観察が必要であると考えられた.

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