大動脈周囲リンパ節転移陽性のSM胃癌を3例 (リンパ節転移陽性SM胃癌の4.5%) 経験した. これらの症例の特徴は, (1) 肉眼型が進行癌, (2) 原発巣最大径が大きい (5cm, 6cm, 8cm), (3) リンパ行性進展傾向が強い (2例がpor, ly3), (4) リンパ節転移度が高率 (36.5%, 39.2%), (5) 転移陽性リンパ節最大径平均値が小さい (6.7mm, 7.2mm) であり, 腫瘍量が多く, リンパ行性進展傾向が強かった. また, リンパ節の肉眼的な大きさでの転移の有無の判断は困難であった. 予後は不良で, いずれも肝・腹膜再発で術後14か月以内に癌死している. このような高度のリンパ節転移症例では拡大リンパ節郭清のみでは根治治療は困難と考えられる. リンパ行性のみの過進展例に対しては, 術後の化学療法を考慮してもいいと考えられる. 術前・術中にSM癌と判断した場合は, 大動脈周囲リンパ節郭清は必要無いと考えられる.