日本消化器外科学会雑誌
Online ISSN : 1348-9372
Print ISSN : 0386-9768
ISSN-L : 0386-9768
大動脈周囲リンパ節転移陽性のSM胃癌3例
中川 登山根 哲郎竹田 靖上野 満久北井 祥三岡野 晋治山口 正秀菅沼 泰中島 晋安川 林良
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 34 巻 9 号 p. 1405-1409

詳細
抄録

大動脈周囲リンパ節転移陽性のSM胃癌を3例 (リンパ節転移陽性SM胃癌の4.5%) 経験した. これらの症例の特徴は, (1) 肉眼型が進行癌, (2) 原発巣最大径が大きい (5cm, 6cm, 8cm), (3) リンパ行性進展傾向が強い (2例がpor, ly3), (4) リンパ節転移度が高率 (36.5%, 39.2%), (5) 転移陽性リンパ節最大径平均値が小さい (6.7mm, 7.2mm) であり, 腫瘍量が多く, リンパ行性進展傾向が強かった. また, リンパ節の肉眼的な大きさでの転移の有無の判断は困難であった. 予後は不良で, いずれも肝・腹膜再発で術後14か月以内に癌死している. このような高度のリンパ節転移症例では拡大リンパ節郭清のみでは根治治療は困難と考えられる. リンパ行性のみの過進展例に対しては, 術後の化学療法を考慮してもいいと考えられる. 術前・術中にSM癌と判断した場合は, 大動脈周囲リンパ節郭清は必要無いと考えられる.

著者関連情報

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top