S状結腸憩室炎によるS状結腸膀胱瘻に前立腺膿瘍を併発し, 敗血症を呈した比較的まれな症例を経験した.症例は67歳の男性.2000年3月, 膀胱炎症状を訴え, 泌尿器科を受診, 前立腺炎が疑われ, 抗生剤投与を受けた.4月, 気尿が出現し, S状結腸膀胱瘻が疑われ, 注腸造影検査を施行, S状結腸憩室を認めたが, 確定診断にはいたらなかった.8月, 発熱と気尿が出現, 乏尿, 血圧低下を認めプレショック状態で入院となった.腹部CT検査上, 傍結腸膿瘍および前立腺膿瘍を認めた.S状結腸膀胱瘻に対してS状結腸切除, 人工肛門造設, ドレナージ, 前立腺膿瘍に対して経皮的ドレナージを施行し, 経過良好にて退院した.S状結腸膀胱瘻の治療は待期的手術治療が望ましいが, 本症例は, 急激に感染が拡大し, 保存的治療に抵抗性のため緊急手術が選択された.