日本消化器外科学会雑誌
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肝細胞癌外科的治療後の肝外転移に対する治療法の検討
坂本 和彦中島 公洋御江 慎一郎蓮田 慶太郎穴井 秀明
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2002 年 35 巻 1 号 p. 116-119

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抄録

1996年から2000年までに当科で外科的治療を施行した105例 (切除62例, 焼灼治療43例) の肝細胞癌症例中, 12例の肝外転移症例の臨床病理学的特徴とその治療法について検討した.
12例中9例に肝内再発を認めたが, 集学的治療によって6例はコントロールが良好であった. 肝外転移部位の内訳は肺7例, 腹膜5例, リンパ節4例, 副腎3例, 骨1例, 脳1例, 胃1例で, 治療は切除15例, 全身化学療法6例, 放射線療法3例であった (症例の重複あり).肝外転移症例の1, 3年累積生存率は67%, 39%であった.肝外転移症例を肝外転移切除群, 非切除群に分け生存率を検討したところ, 切除群が有意に予後良好であった.肝外転移切除症例はいずれも肝内再発がコントロールされていた.
肝細胞癌の肝外転移に対しては, 肝内再発がコントロールされている場合, 外科的切除によってその予後が向上すると考えられた.

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