日本消化器外科学会雑誌
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外傷性総胆管狭窄の1例
高見澤 潤一藤岡 進加藤 健司待木 雄一朽名 靖竹之内 靖日比野 茂高良 大介吉田 カツ江
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2002 年 35 巻 11 号 p. 1664-1668

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抄録

症例は37歳の女性. 夫に蹴られ上腹部を打撲. 受傷1週間後より腹痛, 背部痛が出現. 2週間後より黄疸を自覚し入院となった. 腹部CTでは, 膵頭部の軽度の腫大と肝内胆管, 総胆管, 胆嚢の拡張を認めた. ERCPでは, 膵内胆管の狭窄を認めるも主膵管に閉塞像を認めず, UGIでは十二指腸に狭窄を認めなかった. PTBDにて減黄を行い, 胆汁細胞診と狭窄部の擦過細胞診を行ったところ, いずれも悪性所見陰性で, 外傷性の総胆管狭窄を疑った. 総胆管は完全狭窄で内瘻化ができず, いったん外瘻のまま退院し, 後日内瘻化を行った. 発症より4か月後の胆管造影で胆管狭窄は改善し, 胆管tubeを抜去した. 現在, 血液生化学検査は正常で, 腹部CTでも膵頭部の腫大は軽減し再狭窄を疑わせる所見は認めていない. 外傷性総胆管狭窄は比較的まれであるが, 良性の可逆的病変であり, PTBDによる内瘻化は有用であると考えられた.

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