日本消化器外科学会雑誌
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上行結腸腹膜垂炎の1例
福田 賢一郎出口 勝也阪倉 長平萩原 明郎山岸 久一
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2002 年 35 巻 11 号 p. 1708-1712

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抄録

症例は61歳の女性. 主訴は右下腹部痛. 虫垂切除の既往有り. 大腸憩室炎の疑いで抗生剤投与を行うも改善せず, 汎発性腹膜炎となり手術目的で緊急入院となった. 腹部CTで上行結腸の近傍に卵円形の薄いリング状のheperdensityな層を伴った脂肪組織濃度の上昇領域を認めた. 開腹所見は, 上行結腸の腹膜垂の1つが茎部で360度捻転して鶏卵大に腫大し, 暗赤褐色を呈していた. 表面は顆粒状で一部壊死に陥り右側腹壁に癒着していた. これを上行結腸付着部で切除した. 病理組織で脂肪織の出血性梗塞壊死を認め, 上行結腸腹膜垂炎と診断した. 腹膜垂炎はまれな疾患で, 急性虫垂炎や大腸憩室炎などと鑑別が極めて難しいが, CTでの卵円形の薄いhyperdensityなリング層を伴う脂肪組織濃度上昇は, 腹膜垂炎の画像診断に有用であると考えられた.

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