症例は63歳の男性. 以前より胃底部の粘膜下腫瘍を指摘されていた. 上部消化管内視鏡検査にて腫瘍の増大と中心部の陥凹を認めたため精査入院となった. 超音波内視鏡検査にて病変は第3層すなわち粘膜下層に存在し第4層に変化はなく, 全体としてはやや低エコーであったが, 境界は明瞭であった. 病巣内に数個の無エコー域を認め, 胞性部分が併存していると考えられた. 超音波内視鏡下穿刺吸引生検を行ったが多数の単層立方上皮を認めたのみであり, 腫瘍からの生検はできていなかったものと判断した. 画像所見から, 迷入膵などの良性病変を考えたが, 腫瘍の増大, 中心陥凹の出現より胃局所切除を施行した. 拡張した腺管を形成する腺上皮は単層立方上皮で, 細胞異型, 構造異型は認めなかった. 胃腺上皮に類似した高円柱上皮の腺管が存在していた. これらの所見より病理組織学的に過誤腫性ポリープと診断した.