日本消化器外科学会雑誌
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根治術を施行しえた膵原発小細胞癌の1例
本邦報告22例の検討
久保 尚士康 純明新田 敦範乾 嗣昌田中 肇
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2003 年 36 巻 1 号 p. 28-33

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抄録
症例は44歳の男性. 突然の腹痛を主訴に来院した. 腹部全体に圧痛, 反跳痛, 筋性防御を認め, 血液検査で急激な貧血の進行を認めた. 腹部超音波および腹部CTでは脾破裂, 腹腔内出血が疑われたため緊急手術を施行した. 腹腔内は多量の凝血塊を認め, 脾は被膜, 実質が裂け出血していた. また, 脾体尾部の硬化が見られ, 術中超音波検査にて膵体部の悪性腫瘍が疑われたため膵体尾部脾合併切除を施行した. 切除標本では膵体部に27×15×15mmで白色の硬い腫瘤を認めた. 組織検査では肺の小細胞癌と類似の像を示し, 免疫染色ではneuron specific enolase (NSE), chromogranis A, grimelius silver, epithelial menbrane antigen (EMA) に陽性を示した. 術後肺の精査を施行するも異常を認めなかったことより膵原発小細胞癌と診断した. 自験例は本邦22例目である. 自験例は放射線療法を施行後, 退院し術後24か月無再発生存中である.
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