日本消化器外科学会雑誌
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大腸sm癌のリンパ節転移高危険因子の検討
浅井 浩司五十嵐 誠治松井 孝至堀口 潤固武 健二郎
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2003 年 36 巻 10 号 p. 1365-1369

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抄録

目的: 局所切除後の大腸sm癌に対するリンパ節郭清の適応基準を明らかにすることを目的として臨床病理学的因子を検討した.対象と方法: リンパ節郭清を伴う腸切除を施行した大腸sm癌113例を対象とし, リンパ節転移と臨床病理学的因子13項目との関連性を検討した. 結果: リンパ節転移率は12.4%であった. 単変量解析からリンパ節転移の有無は, sm垂直浸潤距離 (以下, depth), sm水平浸潤距離 (以下, width), 簇出, リンパ管侵襲 (ly) の各因子に有意差を認め, 多変量解析では, lyと簇出が選択された. また, lyと簇出は有意に相関した. 肉眼型別浸潤量の比較では表面型においてdepth, widthはリンパ節転移例に有意に多い結果となった.考察: sm浸潤距離がdepth 1mm以下でwidth 3mm以下であれば, リンパ節転移, ly, 簇出はなく, 浸潤距離がこの範囲内であれば腫瘍切除で根治性がえられることが示唆された. また, 簇出はリンパ節転移の予知因子として重要な因子と考えられた.

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