日本消化器外科学会雑誌
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盲腸窩ヘルニアの2例
大石 純吉岡 晋吾牧 孝将冨田 昌良
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2004 年 37 巻 12 号 p. 1894-1899

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抄録

盲腸窩ヘルニアは後腹膜窩に腹腔内臓器が陥入する内ヘルニアの一つでまれな疾患である. 本邦報告は自験例2 症例も含めて49例であった. 症例1は89歳の女性で, 当院内科に心不全加療目的で入院中, 小腸イレウスを発症した. 保存的加療で改善なく当科転科となった. 腹部CTで盲腸窩ヘルニアを最も疑い緊急手術を施行し盲腸後窩ヘルニアと診断した. 症例2は59歳の男性で, 右下腹部痛で近医受診し小腸捻転症を疑われ当院紹介となった. 腹部超音波・腹部CTにて小腸の盲腸後窩に陥入する像を認め, 盲腸後窩ヘルニアの術前診断にて緊急手術を施行した. 本疾患は特異的な臨床症状はなく術前診断が困難とされてきたが, 右下腹部に自発痛や圧痛・腫瘤触知などの異常所見を認める報告が多い. さらに, 最近ではCTにより術前診断される報告が増えており, 本疾患の理学所見・CT所見・腹部超音波検査を認識しておくことが肝要であると思われた.

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