食道小細胞型未分化癌 (以下, 食道小細胞癌) は比較的まれとされる疾患であり, 予後はきわめて不良である. 現在, 標準治療は確立されていない. 今回われわれは, 健診で早期に発見され, 増殖経過を観察しえた食道小細胞癌の1切除例を報告するとともに, 文献報告例より治療法と予後について検討した. 自験例はリンパ節および遠隔転移がない表在癌で, 術後8か月経て無再発生存中である. 文献報告例では, 全症例 (n=183) の5年生存率は9%, 50%生存期間は6か月であった. M0群 (n=106) はM1群 (n=50) よりも予後が良好であっ (p=0.004). N0M0群 (n=28) とN1M0群 (n=57) では予後に差はなかった (p=0.15). M0症例では, 集学的治療群 (n=31) は他の治療法群 (n=67) よりも予後が良好であった (p<0.0001). 食道小細胞癌では, 集学的治療を行った場合に最も予後がよく, 自験例でも術後補助療法の追加を検討中である.